やっぱりあい(す)がなくっちゃね☆リュウとリキ☆


「リキさん、お待たせ♪」
満面の笑みを浮かべた桐生が、アイスキャンディを2本手にして戻ってきた。真夏の街の聞き込みは、こんなものでも食べていなければとてもやってはいられない。
「お、悪ぃな」
松田は、指定のミントのアイスキャンディを受け取ると、早速一口齧った。桐生はチョコ味らしい茶色のキャンディを咥えている。
二口ほど美味そうに食べる松田を見ていた桐生が、おもむろに口を開いた。
「ねーねー、リキさん。それ、美味しそうですね」
「ん、美味いよ」
「一口くださいよ。これ一口あげますから」
「――いいけど」
桐生と松田は、手にしたキャンディを交換して、一口ずつ齧った。
「ん、こっちも美味いな」
屈託なく食べている様子を見ると、松田の食べている方が美味しそうに見えてきて、桐生は、また交換をねだった。
「やっぱそっち美味しそうですよね。一口ください」
松田は、気にする風もなく交換に応じ、戻ってきたミント味のキャンディを齧った。その様子を見ると、また不思議とそちらのほうが美味しそうに見えてくる。
「ねーねー、リキさん、もういっぺん交換♪」
「ったく、ガキみたいなやつだな」
松田は、呆れたように言いながらも、キャンディを差し出した。
「ほら」
ところが、桐生はふと黙り込んで、じっとキャンディを見つめている。
「どしたよ、リュウ?」
怪訝な顔をした松田に、桐生は満面の笑顔を浮かべて見せた。
「これって、もしかして間接キス?」
「ばっ〜〜〜好きなだけ食えっ!」
松田は、持っていたアイスキャンディを桐生の口に突っ込んで、くるりと背を向けた。
その耳が赤くなっているのを目敏く見つけた桐生は、にしゃらっと笑って、2本のキャンディを交互に齧った。
「ラッキー♪」

[END]



[Story][タツとリキ] [ハト×大将]